お悩み別漢方

夜間頻尿と漢方

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毎年酷暑が落ち着き、やや涼しくなると多くなる相談内容が「夜間頻尿」です。

夜間頻尿の代表処方は「八味地黄丸」または、

八味地黄丸に牛膝と車前子を加えた「牛車腎気丸」です。

夜間頻尿の相談で薬局に来られる患者さんのほとんどの方が、既にどちらかを服用されています。でも皆様、「この漢方薬は効かない」とか、「昔飲んだ時は効いたのに」と相談されます。それでは、全く漢方の証が違うのかなと思いつつ問診してみると、八味地黄丸や牛車腎気丸で良いと思われます。

それなのに、なぜ効果がないのか、私なりに考えてみました。

まずは2つの漢方薬を見ていきましょう。

 

夜間頻尿に効果的な2つの漢方

八味地黄丸

約1800年前の「金匱要略」という漢方医学書に記載されている、腎機能を補う薬です。

ここでいう漢方の腎とは生命力のことです。八味地黄丸は、生命力を補うことで、老化による様々な症状、例えば、足腰が弱くなる、生殖機能が衰える、疲れやすくなる、排尿トラブルが起きる等を防止し、不老長寿を目指す素晴らしい漢方薬です。

 

牛車腎気丸

先にも述べた通り、八味地黄丸に牛膝と車前子が加わった薬です。

八味地黄丸の体質の方で、足がむくむ、足が痛む、つまずきやすいといった、主に下半身の症状が強い方によく使われる漢方薬です。

 

 

なぜ効きにくい?

1800年前の平均寿命は、40歳前後と言われています。

それを考えると、薬が考え出された時代の対象年齢は、今よりずっと若かったはずです。

パリ五輪、馬術団体競技銅メダリストのメンバーが「初老ジャパン」と言われていましたが、この年代の方々にこそ八味地黄丸の効果が一番発揮できるのではないかと思います。

実際、当薬局でも40~50歳代の夜間頻尿は、八味地黄丸単独でかなり効果があります。しかし残念ながら、60歳代以降の年齢になると、八味地黄丸単独では、効きにくさを感じます。

 

 

 

効きにくい場合はどうしたらいいの?

 

対策として、当薬局では他の補腎薬や駆瘀血薬を併用します。

日本史上の人物で、八味地黄丸と他の補腎薬を併用していた方がいました。徳川家康です。

徳川家康は、漢方に詳しく、八味地黄丸と動物性生薬の海狗腎を自ら調合していたようです。そのおかげもあり、65歳で16人目の子供をもうけ、73歳の天寿を全うしました。

 

当店の症例

67歳男性

「急に夜のトイレの回数が増えました。牛車腎気丸を服用していますが、一晩で4~5回は起きています。どうしたらよいでしょう?」

 

⇒牛車腎気丸と海馬補腎丸を服用したところ、夜中のトイレが1~2回に減りました。翌年の春には、薬を飲み忘れても、トイレの回数を気にすることがないほど良くなられたのですが、補腎の大切さを実感され、補腎薬である海馬補腎丸を少量ずつ続けていらっしゃいます。

 

 

 

 

 老化防止の補腎薬

  • 瓊玉膏
  • 海馬補腎丸
  • 至宝三鞭丸
  • 亀鹿仙
  • 天王補心丹
  • 参馬補腎丸  等

血流を良くする駆瘀血薬

  • 夢三七
  • 血府逐瘀丸  等

平均寿命も80歳を超える現代となりました。

しかし初老と呼ばれる年齢になったら、常に漢方の補腎という概念をとり入れながら、腰回りや、ふくらはぎの筋力をつけ、血流を良くしておくこことが、夜間頻尿を改善するための良い方法だと思います。

 

 

 

夜間頻尿に悩まれている方はもちろん、いつまでも若々しくいたいと願う方、ご自分に合った補腎薬を見つけるお手伝いをします。是非ご相談ください。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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