お悩み別漢方

寒さと漢方

  • 女性の悩み

毎日寒い日が続いていますが、いかがお過ごしですか?

震災地域の1日も早い復興をお祈り申し上げます。

 

さて、突然ですが、皆様は「気温が低くなると、身体はどのように変化するか」考えたことはありますか?

 

 

 

 

1. 背中が丸くなる(猫背になる)
2. ブルブルと震える
3. 汗が止まる
4. 尿の回数が増える
5. 喉の渇きが減る
6. 指先・足先が冷たくなる
7. 筋肉の痛みやしびれが出てくる…等

 

以上は自覚症状ですが、
他に自覚のない以下の症状が挙げられます。

 

8. 血圧が上がる
9. 脳への血流量が低下する
10. 呼吸回数が増える
11. 免疫活動が低下する…等

 

冷えに注意

このように、見えないところで冷えは体に影響を与えています。「冷えはつらいけれど冬だから仕方がない」と我慢しがち。しかし冷えのせいで起こる不調や悪化する症状も多いのです。

 

 

漢方の考え方では

寒さにより次の5つの証がより悪化すると考えられます。

 

① 血虚(けっきょ):血の不足による主な貧血症状

② 気虚(ききょ):エネルギーを産出できない

③ 陽虚(ようきょ):温める力が弱い

④ 瘀血(おけつ):血がドロドロになる血流障害

⑤ 痰飲(たんいん):体内に水が溜まる

 

この5つの証に当てはまる方は、冬場は体を温める漢方薬を中心に考えることが重要です。

 

よく使われる漢方薬

身体をある程度温めておくことは、頭痛、肩こり、関節痛、手足の冷え、頻尿はもちろん、免疫ケアにもなります。

寒い時期はタイプ別に次のような漢方薬が使われます。

 

血虚:婦宝当帰膠、当帰四逆加呉茱萸生姜湯、参茸補血丸

気虚:瓊玉膏、参馬補腎丸

陽虚:人参湯

瘀血:芎帰調血飲第一加減、疎経活血湯、補陽還五湯

痰飲:真武湯、苓姜朮甘湯

 

それぞれの証に合う温める漢方薬を併用したり、やや量を増やしたりすることは大切です。

 

 

当店の症例

◆40代男性

新年になってから、だるくて仕方がない。お正月疲れかな? 夕方になると足がむくんでパンパンになる。足が冷たいが、寒い時期なので仕方ないとは思っている。

高校2年女子

———————————————————————–

⇒甲府は昨年猛暑だったせいか、今年は余計に冷えを感じている方が多くみられます。この男性は1日に夏の時期と同じ位大量に水分を取っていながら、汗もかかず、尿量も増えていなかったことにより、痰飲が悪化したのだと考えました。
そこで真武湯を2~3包服用していただいたところ、昼間の尿の回数が増え、むくみも取れ、1週間後にはだるさも冷えも楽になったとの事でした。

 

養生のポイント

1. 薄着は避ける

2. 冷たい食べ物・飲み物、生ものは控える

3. 適度に身体を動かす

4. 充分な睡眠をとる

 

これは余談ですが、冒頭の「気温が低くなると身体はどのように変化するか?」は、実は、私が何となく漢方が分かりかけた30年程前に、亡き師匠がいきなり私にした質問でした。当時、真夏の暑い日でぐったりとしていて、寒い時期のことは想像が及ばなかったり、そもそも皆の前で立って発言しなくてはいけなかったりで、頭が真っ白になってしまい、何も答えることが出来ませんでした。急なこととはいえ、情けなく、同時にまだまだ勉強が足りないことを痛感し、今に至ります。

 

近年は、温暖化の影響があって、気候が激しく変動していますが、漢方においてはそれぞれに対応する漢方薬や養生法があります。

ご自身の証にあった寒さ対策をすることは様々な不調を改善するのみならず、今後何らかの病になるのを防ぐことにもつながります。

冷えを感じたり、少しでも不調を感じたらぜひ当店にご相談ください。

関連記事

この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

ページトップへ戻る