甘いもの漢方
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2月14日はバレンタインデー。
ここ数年、自粛や廃止傾向にある「義理チョコ」ですが、この「義理チョコ」が盛んだった頃、ある奥様より相談を受けました。
「うちの主人は、甘い物が大好きで、びっくりするくらいの甘い物を、平気で食べます。
バレンタインでは、大量にチョコを頂いてくるのですが、ほとんど独り占めにして食べてしまいます。太らない体質を良いことに見境いなく甘い物を食べます。
普段の食事量は、どちらかというと男の人にしては少ないと思います。
でも将来糖尿病になっては困るので、予防のための漢方のお茶を欲しい」
とのことでした。
お話の中から、
1、甘い物が好き
2、食欲は少ない
この2点から、この男性は、胃腸があまり丈夫ではなさそうなので、
漢方の考え方の、脾気虚、脾陽虚、中気下陥のどれかに相当するだろうと予想を立てました。
そして以下の質問をしてみました。
「甘い物を食べすぎた後は、胃腸の不調を訴えていませんか?」
すると
「甘い物に限らず、食べ過ぎた後は、胃がもたれたり下痢したりしています」
と答えてくれました。そこでまた
「食事の後、眠そうですか?」
と尋ねました。
そうしたところ、笑いながら、
「夕飯の後は、必ず横になって寝ています。お行儀が悪いでしょ」
と話されました。そこで、
「体質を確認したところ、やっぱり胃腸の働きが弱い、脾気虚・脾陽虚・中気下陥のどれかに当てはまります。
甘い物を無性に食べたくなる時は、胃腸が疲れている時です。
こういう時に大量に食べると、胃腸の働きはさらに悪くなります。
糖尿病予防のお茶を飲むより、まず胃腸を丈夫にすることが重要です。
胃腸の機能を強化することで、心身共に健康になりましょう」
と説明しました。
胃腸が弱い人の特徴
- 食欲不振
- 食後お腹が張る
- 軟便又は時々下痢
- 吐きっぽく、気持ち悪くなりやすい
- 皮膚がくすんだ黄色
- 疲れやすい
このご相談ですが、その後御本人が来局されました。
脱肛があったこともあり、中気下陥の漢方薬である「補中益気湯」をおすすめしました。
服用し始めたら、まず脱肛が良くなってきたと喜んでくれました。
後日、また奥様がお見えになり、
「甘い物を大量に食べて困ることを相談しましたが、主人は、どうも甘い物しか味覚がわからないのかもしれません。あまり味にうるさくないというか、わからないというか。
だからせめて大好きな甘い物だけでもお腹いっぱい食べさせた方が良いのかとも思うこともあります」
と言われました。そこで
「補中益気湯を服用する人は、味音痴な人が多いのが特徴の一つでもあります。
胃腸を立て直して、バランス良い食事を色々召し上がってください」
と言いました。
あれから、もう何十年も時が流れましたが、男性は、今でもお元気です。
「胃腸が弱いと指摘されたので、常日頃腹八分目でよく噛んで食べるようにしている」
と話されています。
それでも今でも無性に甘い物が食べたくなる時があるようで、
そういう時は「今胃腸が弱っているな」と思いながら、胃がもたれない程度にゆっくりよく噛んで食べるそうです。
甘い物が止められなくて悩んでいらっしゃる方、もしかしたら、胃腸が疲れているサインかもしれません。ぜひ相談してください。