夏バテ予防
- その他の症状
先日、親戚で集まった際に「どこかおいしいウナギ屋さんを知らないか?」という話題になりました。特に今年は7月24日と8月5日と、2回も土用丑の日があるとのこと。そもそも土用丑の日にウナギを食べるという習慣は、江戸時代に平賀源内の発案で、夏に売り上げが低迷するウナギ屋さんが「本日土用丑の日」という看板を出したところ大繁盛し、それが広まったというものらしいです。今では夏バテ予防の食事には、まずウナギが思い浮かぶようになりました。確かにウナギには、ビタミンA・B群・DHA・EPA.タンパク質.コラーゲンなどが含まれているため、夏バテ予防にはとても良い食事ではないかと思います。
ところが、その中の一人が
「私は、ウナギは脂っぽくて苦手。小学生のころ、美味しそうなにおいにつられて食べたが、胃もたれして、具合悪くなった。それっきり食べていない」と言いました。
周りは「そんなことあるかな~?」と言っていましたが、実際、薬局では、ウナギを食べた後、胃もたれ、吐き気、食欲不振、だるくなった、気分が悪くなったなど、夏バテのような症状が出た話をよく聞きます。
実は、あまり胃腸の調子がよくない時は、ギトギト脂肪分が多いウナギはお勧めできません。脂ののったウナギは消化しにくく、胃腸の負担になるからです。
また、特に胃腸が不調ではなくても、ウナギを食べて体調が悪くなることがあります。このような場合、おそらく山椒をかけていないか、もしくは山椒の量が少ないかだと思います。ウナギに山椒をかけることにより、消化を助け、胃もたれを防いでいるのです。山椒が薬味と言われる理由です。ちなみに山椒は、漢方薬の大建中湯に組成されています。大建中湯は、お腹の冷えや痛みなどによく服用されます。
さて、夏バテ予防に話を戻しますが、このウナギの話からも分かるように、いくら栄養価が高いものを食べても、受け皿である胃腸が弱っていると夏バテの予防にはならないのです。
漢方では、夏の酷暑と湿気で、一番ダメージを受けるのが「胃腸」と考えます。暑い夏を元気に乗り越えるためには、元気な胃腸が必須条件です。
あなたの胃腸は大丈夫?
〇胃の不快感がある
〇下痢しやすい
これらは明らかに胃腸が弱っている証拠です。しかし症状がないからといっても安心はできません。知らず知らずに胃腸が弱り始めているかもしれないからです。
胃腸の状態の簡単なチェック方法として、舌を見る方法があります。舌の色や厚み、苔の有無をチェックしていきます。胃腸の状態は天気や食べ物や疲労度によって日々変化します。いつもより舌が厚くなったり、舌苔が厚くなったり、黄色っぽくなったりしたときは、胃腸が弱っているサインです。
胃腸を元気にする漢方薬
人参湯:胃に冷感がある・手足の冷え
参苓白朮散:食欲がない・下痢
連日の酷暑で、どうしても冷たい物を飲み食いしたくなると思います。しかし冷たいものは胃腸を冷やし、働きを悪くします。知らず知らずに胃腸が弱り、夏バテになりやすくなっている人が多いのです。
ウナギに山椒をかけて食べるように、弱っている胃腸には漢方薬が不可欠です。夏バテに負けない身体を作りたい、最近夏バテ気味、そんな方は、ご自分に合う漢方薬をぜひ相談してください。秋以降、健康に過ごすためにも早めの対策を。