起立性調節障害と漢方
- その他の症状
血圧や脈拍はもちろん、血管の弾力度・体内血流量・末梢血管抵抗・代謝・拍出量(心臓が1回に送り出す血液量)・心臓負荷など計測できます。血行動態を把握することで、より適切に健康管理が行えます。
◎血流パターンは、大まかに3つあります。
1. 正常タイプ
2. 血行過剰タイプ
⇒ 高血圧や心疾患などになりやすい
3. 血行不良タイプ
⇒ 低血圧や・体力低下・過労・冷え性など
これまで測定した中で、過剰タイプの方たちは、ほぼ全員医師の診断を受けていて、血圧など健康管理していらっしゃいました。
ところが驚いたことに、不良タイプの方は何らかの不調があっても、そのまま様子を見ていることが多いのが現状でした。確かに健康診断では特に問題ないのかもしれません。
でも漢方ではこのような血行不良タイプは、「血虚(けっきょ)」または「脾虚(ひきょ)」と考えます。西洋の病名でいえば、貧血・低血圧・低体温症。起立性調節障害なども当てはまると思います。
起立性調節障害とは
自律神経の働きが悪くなり、血液循環に問題が生じ、様々な症状を引き起こす病気です。
思春期に起こりやすい障害です。
主な症状:
・朝、起きられない
・立ちくらみ
・倦怠感
・食欲不振
・頭痛
・不眠
・イライラ
・集中力低下
など
漢方では
血流を良くする漢方薬を中心に、各自の症状・体質に合わせ改善させていきます。
当店の症例
◆高校2年女子
高校1年までは、運動部にも所属し元気に登校していたのですが、高校2年の6月に、起床時にめまいと頭痛で起きられなくなった上、だるさもありました。午後や夜になると症状が治まるため、夜型生活となり、生活リズムが乱れて、部活どころか学校も休むことが多くなりました。夏休み中に、心療内科に通院し「起立性調節障害」と診断されました。抗不安薬や睡眠薬などの薬を処方されましたが、本人がかたくなに「服用したくない」との事で、友人の勧めで来局されました。
ご家族は、心療内科の薬に手を付けないことから、ただの「さぼり」と考えていました。
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⇒一通り問診し、パラマテックの血流計で測定してみました。案の定、血流障害の乏血型でした。血液量が乏しく、血行不良でした。「気血両虚」の漢方薬をお渡しすると同時に、朝少量でも食べることを含め、食事指導も行いました。
今日で服用3週間ほどですが、「症状はだいぶ改善し、朝の『しんどさ』がなくなって学校へも行けるようになりました」と、先程本人とご家族よりお電話がありました。
引き続き漢方薬を服用しながら、基礎代謝量を高めるため、筋肉を増やし、冷えない身体作りをするよう指導しました。部活も今は休部中とのことで、軽くストレッチから始めると話していました。
今回、血流計測定により、血行不良が原因と、ご家族にも理解していただけたことも、早く回復できた要因だと思います。
漢方薬の力
漢方薬には、元来持っている気力体力を取り戻す力があると思います。気力体力が戻ってくれば、心肺機能が上がり身体も動かせるようになるため、起立性調節障害も改善していくと思います。
当薬局では、これからもご希望の方には血流計測定を行い、一緒に数値を見ながら体調を確認して、漢方療法の説明をしていこうと思います。どうぞお気軽にご相談ください。