口・喉のかわき
- 生活習慣病の悩み
全国高校野球選手権大会では、今年から熱中症対策として、10分間の休息を取る「クーリングタイム」が設けられました。クーラーなどで身体を冷やしたり、水分補給をしたりしました。熱中症対策をされたのは良いことだと思います。
暑くて汗をかいた時・激しい運動をした時は喉が渇き水分を取りたくなるのは生理現象で、ある程度水分補給をすれば、喉の渇きは収まります。ところが「喉の渇きが止まらない」「暑くなくても喉が渇く」と訴える方がいらっしゃいます。
何らかの病変があるために、喉が乾くのは要注意です。例えば、糖尿病・シェーグレン症候群・甲状腺疾患.下痢などの病気で喉の渇きが見られます。
漢方では
今挙げたような疾患を含め、口喉のかわきから体質を区別し、根本的な改善を考えます。そもそも「渇く」と「乾く」は違うものとして考えます。使う漢字で意味が変わってくるのです。
1「口渇」
⇒喉が渇いて水をガブガブ飲む状態
2「口乾」
⇒口中が乾燥し水は欲しいが、潤す程度で、あまり量は飲めない状態
口・喉のかわきのタイプ
大きく分けると次の二つです。
朝からガブガブ冷たい水を飲んでいるのであれば「実証」。
夕方から、または肉体的に疲労した時は多量に水分を飲むけれど、1日中は飲めないのであれば「虚証」。
つまり「のどがかわきますか?」だけ伺っても分類はできないので、様々な質問をしてどのような状態か考えていくのです。
よく使われる漢方
漢方の発想では、口喉のかわきは、「胃」に熱があると考えます。しかしタイプ別に漢方薬は使い分けていきます。
1. 実証
白虎加人参湯
三黄瀉心湯
防風通聖散 など
2. 虚証
知柏地黄丸
八仙丸
小建中湯 など
当店での症例
◆50歳代男性
1週間前に飲み会に出かけた翌日より、喉の渇きが止まらない。夜中も喉が渇いて目が覚める。二日酔いかなとは思うけれど、1週間も続かないはず。水分ばかり取るからか、尿の回数や量、汗も多い。何か喉の渇きが止まる漢方薬が欲しい。
⇒朝起き掛けより、氷水を沢山飲むことから、実熱症と判断。食欲も旺盛。喉の渇きが止まる漢方薬を飲んで頂いた。同時に糖尿病の疑いがあるので、近日中検査に行くよう指導。
⇒実熱証の漢方薬を服用したところ、喉の渇きはわりとすぐに止まった。家族にも勧められ病院に行ったところ、やはり糖尿病と診断された。
漢方薬は、食欲も抑えられるので、病院の薬と併用しながら飲むつもりとのこと。
◆小学校1年生男子
小学校に入学しても夜尿症があると言うことで来局。夜になってくると、水分を取りたがり、隠れてまでも水を飲んでいるので、夜尿症が治らないのではないか? 夜の水分を控えるように話して欲しい。
—————————————————————————————————-
⇒虚熱症の漢方薬を服用していただいた。特に水は気にせず飲んでよいと話したが、以前のように水を欲しがらなくなったとのこと。しばらく服用し、夜尿症は完治した。
口や喉の渇きは、体質や生活習慣によるものもありますが、最初にもお伝えした通り、何らかの疾患によるものもありますので、まずはご相談ください。
ただの「かわき」だと思って放っていると、だんだん治りにくくなったり、他の不調を引き起こしたりすることもあります。
「かわき」という体のサインを見逃さずに、自分の体に合った漢方薬で適切に対処してきましょう。