お悩み別漢方

胃腸の不調と漢方

  • 生活習慣病の悩み

雪が降りそうな日の閉店間際に、30歳くらいの男性が
「今、唐揚げを食べすぎてしまい、胃がもたれて苦しくて仕方ない。もうこれ以上何も飲み食いできないくらい気持ちが悪い。何か良い薬はありますか?」と、今にも吐きそうな感じで来局されました。早速漢方の消導剤(消化薬)をお勧めしところ、
「漢方薬は即効性がないから嫌だ」言われましたが、
「今、うちの薬局では、これが一番お勧めのお薬です」
と言ったところ、しぶしぶ購入されていかれました。
ところがその2週間後、
「漢方薬があんなに即効性があるとは思わなかった。1包飲んだだけだったのに、家に着くころにはすっかり良くなっていたよ。効いたよ。ありがとう」と、ニコニコしながらあの時とは別人のような雰囲気で、わざわざ報告に来てくれました。

 

最近の私たちの食事は、動物性脂肪を多く食べたり、冷たいものを年中口にしたりと、胃腸を酷使することが当たり前となっています。胃腸は、食べ物を消化吸収し生きるためのエネルギーを作り出す臓器ですから、健康維持には、最も重要な役割を果たしています。つまり、胃腸が強くなれば、身体全体が強くなるのです。

 

では、この飽食の時代、胃腸を健康にするためにはどうすればよいのでしょうか?
まずは、正しい食生活をすることですが、これがなかなか大変。そこで、食べすぎたときの消化剤、つまり、漢方でいう消導剤を活用していくことが考えられます。

 

どうして漢方の消導剤が良いのでしょう?
漢方の消導剤は、消化酵素の働きを助ける作用だけでなく、腸内細菌群を健康な状態にして消化を助ける作用もあります。また、長く飲み続けられることも特徴の1つでしょう。

 

よく使われる漢方
消導剤として、「加味平胃散」・「晶三仙」・「保和丸」などが挙げられます。

<消導剤はこんな方におすすめ>
1 ついつい食べすぎたり、飲みすぎたりしてしまう
2 脂っこい料理が好き
3 野菜の摂取量が少ない
4 甘いものが止められない
5 外食やコンビニ食が多い
6 噛む回数が少ない
7 食事(特に夕食)後すぐ寝てしまう
8 体温より低い温度の飲食物をよく摂る

 

あなたの胃腸は大丈夫ですか?
気付かぬうちに胃腸が弱っているかも。
次のような症状はありませんか?

 

<胃腸の働きが衰えている時の症状>
1 胃もたれ
2 ムカムカする
3 お腹が張る
4 げっぷが出る
5 食後眠い
6 食欲不振
7 下痢をよくする
8 便秘気味
9 太り気味

これらの症状が3つ以上あれば、今は、特に問題なくても、毎日胃腸のケアをしておいたほうが良いと思います。

 

<日常生活の中で胃腸のために今すぐできること>
1 よく噛んで食べる
2 夕食は、遅い時間に食べない
3 野菜を多めに食べる
4 冷たいものを取りすぎない

少し気にかけるだけでも違います。心がけてみてください。
さらに、毎日の生活に漢方の消導剤を加えるだけで、胃腸の調子が整ってくるのが感じられると思います。

 

最後に、漢方の消導剤は、ダイエット目的で服用している人も多くみられ、実際に「やせた!」という話もよく聞きます。清の西太后も豪華な食事やお菓子などを食べすぎるため、消導剤をよく服用していたことが、宮廷のカルテに残されています。
消導剤はうっかり食べすぎたときや、日々の消化作用のお助け薬として、とてもおすすめです。胃腸に不安がある方、食べ過ぎが気になる方、ぜひご相談ください。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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