食欲不振を漢方で
- 生活習慣病の悩み
毎日暑い日が続いていますが、夏も本番となると「身体がだるくて、何も食べたくない」「お腹がすいても、食べたいものが見つからない」と感じることがありませんか? その食欲不振は「未病」のサインかもしれません。
食欲不振は、倦怠感、体重減少、やる気の低下などを伴うことも。身体に必要な栄養を摂取できないことから、免疫力が低下し様々な不調を引き起こします。
食欲不振の原因は?
主な原因は胃腸機能の低下です。
ではなぜ胃腸機能が低下するのでしょう?漢方的には様々な要因が考えられます。
1. 生まれつき胃腸が弱いタイプ
⇒ 参苓白朮散 小建中湯 補中益気湯
2. 冷え性タイプ
⇒ 人参湯 参馬補腎丸
3. 暴飲暴食タイプ
⇒ 晶三仙
4. ストレスタイプ
⇒ 逍遥散 開気丸
5. 余分な水分が胃腸に溜まってつかえるタイプ
⇒ 六君子湯 平胃散
6. 夏バテタイプ
⇒ 清暑益気湯 胃令湯
当店での症例
◆20歳代女性
夏バテ気味だったので、鰻を食べに行きました。食後しばらくしたら、急に身体に力が入らなくなり、立っていられなくなりました。
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⇒ 鰻は非常に栄養価の高い食べ物ですが、一方でかなり脂っぽく消化に悪いと言うデメリットがあります。この女性は、丸1日ほとんど食事がとれないほどの食欲不振になりました。

消化能力をアップさせる漢方薬を服用したところ、すぐに良くなりました。
鰻を食べる時に是非覚えておいて頂きたいことは、必ず薬味の山椒をかけることです。生薬でもある山椒は、胃腸を温め消化を助け、湿気を取り除く効果があります。
この女性も、普段は鰻に山椒をかけなくても問題なかったようですが、お疲れ気味で胃腸が弱っていたところに消化の悪いものを食べたので、体調が悪くなってしまったと思われます。
◆中学2年生女子
6月から不登校。学校に行っても長くて2時間程で帰宅してしまいます。でもピアノのお稽古や学習塾などは行きます。カウンセリングも受けましたが、どうもいじめや精神的な問題ではなさそうです。病院の検査も、問題はありませんでした。夏休み中も、家でゴロゴロしています。このまま不登校が続くと、高校に進学できないと困るとご家族も心配しています。漢方には「未病」という概念がありますが、大きな病気の前兆でしょうか?
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⇒ 最初、立つどころか座っているのもやっとの状態でした。
学校から2時間で帰宅することや、塾など稽古事は欠かさず行くことを考えてみても、1日のうち2時間が体力の限界なのかもしれません。この生徒は、身長はやや低めでしたが、特に痩せてはいません。

問診で、極端に食事量が少ないことがわかりました。そのため栄養分が不足し、体が衰弱していました。胃腸機能を改善する漢方薬を飲み始めたところ、徐々に食事量が増えていきました。2学期には、少しづつ登校時間も増え、その後高校にも進学できました。高校入学後は身長も伸び体力もつき、大学にも合格したと感謝されました。
食欲不振は早めに漢方で

私の場合、家族に「そばとか冷やし中華を食べたい」とリクエストされると「この暑いなかで麺をゆでる人の身になってもらいたい」と、勝手にイライラして食欲もなくなったりしますが、どんな些細な事でも、食欲不振が続く場合是非相談してください。
食欲の有無は、健康のバロメーターです。
夏の食欲不振は秋以降の不調にもつながります。「涼しくなれば良くなるのでは」と見過ごさずに早めの対処を。