お悩み別漢方

おならが止まらない~改善について漢方の考え方~

  • その他の症状
「おならが止まらない」
「おならが出て困る」
「おならで病院に行くのも…」

おならでお困りではありませんか?

 

先月、おならに効く漢方薬を欲しいと、三名も来局されました。40歳代女性、50歳代男性、もう一人は60歳代男性です。「寝る時に暑くて布団をかけていないので、自分のおならをごまかせず本当に困る」と三人が示し合わせたかのように同じことを話されていました。

同じ症状、同じ寝る前の悩みですが、三人が服用した漢方薬は全く違う上、生活アドバイスも三者三様でした。

今回はおならを漢方の観点から考えていこうかと思います。おならは漢方では「失気」といい、体質を判断する大事な生理反応です。

 

失気のもと

1呼吸や、食事と一緒に取り込まれる空気

2食物の消化や、腸内細菌により発生するガス

3胃腸・肝臓・膵臓など内臓疾患、または暴飲暴食による消化不良のため、腐敗した
ガス

 

2種類の失気

1臭いがある場合

・腐敗臭がする

⇒脾気虚タイプ

 

・腐敗臭以外の臭いが強い

⇒湿熱タイプ

 

2臭いがない場合

⇒気滞タイプ
◎臭いのないガスが本来は正常と言われています。サツマイモなど食物繊維が多いものを食べると、腸内でガスが大量に発生しますが、無臭のガスです。

 

当店での症例

<40歳代女性>

この方は臭いがない気滞タイプ。

お腹が張って苦しい、生理前は特にお腹が苦しくていられないとのこと。ストレスで気の巡りが悪くなります。

アドバイス:身体を適度に動かす、お友達とおしゃべり、カラオケをするなどストレスを上手に発散してください。普段の食事は理気作用があるセロリ、三つ葉、しそ、またはミカンやレモンなどの柑橘系、ジャスミン茶のようなハーブティーもお勧めです。

 

<50歳代男性>

この方は、奥様に怒られるくらい臭いがきつい、湿熱タイプ。このタイプは体臭や口臭もひどくなります。

最近冷酒にはまり、暴飲暴食。おまけに、にんにくもよく食べているとの事。

アドバイス:冷酒はほどほどにして、肉類中心の食事や、臭いの強いネギ類・にんにくなどを控え、ほうれん草などの色の濃い緑色の葉物野菜、めかぶやもずく(アルギン酸やフコイダン)の他、緑茶カテキンなど臭いを防ぐ食品を摂取することを心掛けてください。納豆などの発酵食品を摂って腸内環境を良くすることも重要です。

 

<60歳代男性>

この方は、胃腸の働きが弱く、消化吸収や排便が遅れるため、ガスが発生しやすい脾気虚タイプ。もともと胃腸が弱い方が、暴飲暴食をして、胃腸に負担がかかりすぎるとみられる症状です。食後眠くなったり、食欲や食事量が減ったり、便秘を伴ったりもします。

アドバイス:アイスクリームやジュースのような冷たいものを控え、消化の良いものや温かいものを良く噛んで召し上がってください。また就寝前に食事をすると、未消化の食物が腸に残ってしまい、腸内細菌による腐敗が起きやすくなります。出来るだけ寝る直前は食事を控えてください。

 

皆様漢方薬も服用され、アドバイスのとおり生活されたら、おならが減ってきた上、体の調子が良くなってきたと喜んでくださいました。

 

さて、おならは未然に病を防ぐ「防未病」の判断基準の一つです。回数が増えた、臭いがきつくなったと感じたら、味の濃い、脂っこい、甘みが強い食事をしていないか見直してみましょう。生理反応の一つであるおならに注意することで、ご自身の体質を知り、改善することが出来ます。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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