お悩み別漢方

乾癬2

  • 皮膚の悩み

漢方の観点から乾癬を見ていきます

乾癬は中国では「銀屑病(ぎんせつびょう)」と呼ばれています。

古くから漢方で扱われてきた症状です。

ではもう少し、詳しく見ていきましょう。

 

乾癬の原因

以下のような外因(環境等の要因)と内因(内側の要因)が関係していると考えます。

 

外因:

漢方では、季節・時間・居住地・環境などが関連して体に悪影響を耐えるものを「邪」と呼びます。

次の六邪が挙げられます。

 

・ 風邪(風)

・ 寒邪(寒さ)

・ 湿邪(湿気)

・ 熱邪(火を使うなどの熱気がある環境)

・ 燥邪(乾燥)

・ 暑邪(夏の暑さ)

 

これらが複合して体に影響を与えることもあります。

 

内因:

・ 虚弱体質

・ 抵抗力不足

・ ストレスなどで精神的にまいっている

・ 食事の不摂生

・ 血不足

・ エネルギー不足

 

など

漢方では、病名で薬を決めるのではありません。

上に挙げたような要因に加え、乾癬の症状や状態、身体全体の状態なども検証してから証(しょう・タイプ)を考え、その人にあった薬を選んでいきます。

 

乾癬で良く見られる証(しょう)

血熱 :

急性期によく見られます。血が熱を帯びた状態(炎症を起こした状態)と考え、血の熱を冷ます薬中心に使っていきます。

 

血瘀(けつお) :

血液が滞った状態。なかなか治らない状態の時によく見られます。

血の状態を改善し、良い血を体に巡らせると同時に、余分な湿をとり、皮膚症状を改善する薬を使っていきます。

 

血燥 :

静止期、退行期によく見られます。皮膚や筋肉に潤いや血が足りない状態です。

良い血を増やしながら、皮膚に潤いをあたえ、皮膚症状を改善する薬を使っていきます。

 

湿毒阻絡(しつどくそらく) :

毒素が経絡(けいらく)に入って流れを阻害している状態です。

関節の痛みを伴うこともあります。

関節痛の治療もしながら、体を丈夫にし、暖めて血流を良くする漢方薬を中心に使っていきます。

 

熱毒 :

紅皮症型にあたります。

熱をさまし、解毒する漢方を使っていきます。

 

その他にも様々な証が混じって見受けられることもあります。

それぞれの証を見極めながら一人ひとりに対処していきます。

 

乾癬で用いられる主な漢方薬

 

清営顆粒(せいえいかりゅう):血熱をとる

黄連解毒湯(おうれんげどくとう):血熱をとる

温清飲(うんせいいん):血熱をとり、潤いを補う

当帰飲子(とうきいんし): 皮膚の乾燥に対し、潤いを補う

冠元顆粒(かんげんかりゅう): 血の巡りをよくする

瀉火利湿(しゃかりしつ): 皮膚の湿熱をとる

銀翹散(ぎんぎょうさん): 体表の邪を冷やしながら飛ばす

 

など

これらを症状や体質によって使い分けていきます。

五涼華や五行草、白花蛇舌草、水快宝なども使われます。

 

生活習慣の改善

薬に頼ると、ついおろそかに考えがちなのが、生活習慣です。

しかしこれが実は重要なのです。

 

食事

○辛いもの、甘いもの、刺激物は避ける(体に熱を持ってしまうため)

○食べ過ぎない(漢方では、体内で消化吸収されされなかったものが、体に残ると「悪いもの」に変わって身体に悪影響を及ぼすと考えます。日本人にあった和食中心の食生活がおすすめです)

 

生活

○睡眠をしっかりとる(夜更かしもだめ)

○ストレスためない

○適度な運動を心がける

 

新海薬局では生活面でのアドバイスもしております。

漢方を上手に使って、つらい乾癬を改善していきましょう。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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