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乾癬1

  • 皮膚の悩み

治りにくい皮膚疾患の一つに乾癬があります。

 

乾癬とは?

乾癬は表皮の細胞増殖と角化異常を特徴とする慢性の皮膚病です。

通常、皮膚は2週間~4週間で細胞が生まれ変わるように出来ています。

でも乾癬の皮膚細胞は、健康な皮膚と比べて10倍以上の速度で生まれ変わり、どんどん増えていきます。

過剰に生産された表皮の細胞は厚く積み上がり、鱗屑(りんせつ・銀白色のフケのようなもの )となってはがれ落ちていきます。

また、炎症を起こす細胞が集まっているため、毛細血管が拡張し、皮膚が赤くなります。

日本には10万人以上の患者がいると言われ、男女比は2:1で男性の方が多いです。

 

乾癬は感染するの?

乾癬も感染もどちらも「かんせん」と読むため、「乾癬はうつる」と勘違いされやすいですが、乾癬は感染しません。

ウイルスやカビなどの微生物は関係無い病気なので、うつる事はありません。

 

乾癬は症状によって次の5つに分類されます。

1.尋常性乾癬:全体の9割を占めます

2.滴状類乾癬(てきじょうるいかんせん)

3.膿疱性乾癬(のうほうせいかんせん)

4.乾癬性紅皮症(かんせんせいのうひしょう)

5.関節症性乾癬

 

乾癬の原因は?

「乾癬がなぜ起こるのか」

「どうして乾癬では皮膚の一部だけが異常増殖するのか」

 

などの「原因」は西洋医学的にまだ解明されていません。

ただし、次のようなものが関連するのではと考えられています。

 

1.遺伝:

家族に乾癬の人がいると発症しやすいと言われます。

ただ、なりやすい遺伝子を持っているというだけで、すべての人が発症する訳ではありません。

日本人の場合、乾癬の親を持つ子が発症する確率は4~5%程度です。

 

2.環境要因:

○ ストレス

○ 食生活(食生活の欧米化)

○ 不規則な生活習慣、タバコ、アルコール、

○ 気候(特に冬に悪化)

○ 紫外線不足

○ 乾燥

○ 薬剤

 

など

 

3.免疫異常

免疫は本来身体を守るためのものですが、免疫機能の異常により、乾癬を発症するとも言われています。

 

西洋医学での治療

1.塗り薬

● ステロイド : 炎症を抑えるために使います

● ビタミンD3外用薬 : 皮膚の増殖を抑えます

 

2.紫外線照射

紫外線には「免疫の働きを弱める作用」があります。

乾癬治療では、皮膚の細胞増殖や炎症を抑制する作用をもつUVA(長波長紫外線)、UVB(中波長紫外線)が用いられます。

 

3.内服薬

● ビタミンA誘導体(レチノイド) : 表皮細胞の異常な増殖を抑えます

● 免疫抑制剤 : メトトレキサート、シクロスポリンが用いられます

 

4.生物学的製剤

「生物学的製剤」とは最先端のバイオテクノロジー技術によって作られた医薬品の事です。

副作用があったり、薬が高価だったりするので、1~3の方法でもダメだったときの最終選択とされています。

 

こうやって見てきて、難しい皮膚疾患だと思われた方がほとんどなのでは?

でも、漢方で改善している方も多いです。

そこで、次回は漢方の観点から乾癬を見ていきます。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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