老化予防の鍵は漢方の「腎虚」改善にあり:あなたのほてり・冷え、夜間頻尿は老化の第一歩かも(山梨県立盲学校 講義録)
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先月、山梨県立盲学校より、東洋医学を学ばれている、専攻科3年生を対象に「漢方薬」の講義を2コマしてほしいという依頼がありました。

盲学校でも、20年前から中医学を基礎にした鍼灸を学んでいるそうです。
「心腎不交」というような中医学用語もご存じとのことで、とても驚きました。
今回は、その時の1コマ目の内容をお伝えします。
私が、薬剤師となり、漢方の勉強を目指したのは、私自身、ペニシリン系、サルフア剤などにアレルギーがあり、色々な西洋の新薬を服用するのが怖くなったことが一番の原因でした。
そして、漢方薬なら副作用も少ないのではと考えました。
そんな私が漢方を勉強して良かったことが数々ありました。
その1つが、老化の速度を遅らせる薬が沢山あったことです。
生徒さんたちに
「老化現象として、どんなものが思いつきますか?」
といきなり質問してみました。

「しわ 白髪 抜け毛 物忘れ 体力の衰え 不眠 不妊 骨がもろくなる 歯が抜ける 老眼 難聴」
など、老化は皆様誰もが気になるテーマのようで、予想していた以上に活発にお答えいただきました。
それから、老化現象と漢方の考え方について具体例を挙げながら説明しました。
漢方では、老化現象のスピードが速い人を「腎虚」といいます。
即ち「腎虚」にならないための薬を服用すれば、老化予防になります。
この「腎虚」には、大きく分けて二つのタイプがあります。
「ほてる」タイプと「冷える」タイプです。
「ほてる」タイプ

「腎陰虚」と言います。
このタイプの代表的な漢方薬が六味丸です。
手足にほてりがあり、頬が赤い、尿色が黄色、喉が渇く、などの症状が特徴的です。
体液つまり、身体内の水分不足が原因となっています。
腎陰虚にも様々なタイプがあり、それによって薬も使い分けます。
ただし、以下の漢方薬は薬局薬店でしか販売していません。
◆動悸や不眠がある「心腎不交」⇒天王補心丹
◆目の疲れ・イライラ「肝腎陰虚」⇒杞菊地黄丸
◆肌のかさつき・ノドのイガイガ「肺腎陰虚」⇒八仙丸
◆ほてりがひどい「陰虚火旺」⇒知柏地黄丸など
「冷える」タイプ

「腎陽虚」といいます。
寒がりで、尿色は無色透明、夜間頻尿があります。
エネルギー不足が原因です。
・八味地黄丸
・牛車腎気丸
・真武湯
などが代表的な漢方薬です。
当店の症例

【40歳男性】
秋口になったら、急に夜中にトイレに起きるようになりました。毎晩1回は必ず起きます。ひどいときは3回起きます
⇒この方は腎陽虚で、八味地黄丸をお渡ししたところ、すぐ効果が見られました。
このように40~50歳代では、八味地黄丸や、牛車腎気丸で、夜間頻尿はすぐ改善してきますが、年齢が重なり、60歳を過ぎた方では、なかなか八味地黄丸や牛車腎気丸だけでは効果が見られません。
さらに、ほかの「腎虚」の薬を合わせて服用する必要があります。
これからの漢方
昔の人の寿命が50歳代だったのに対して、現代は80歳を超えているということを考え併せてみなければならないと思います。
今日の漢方薬は時代や環境の変化に合わせて、様々な視点を含めて総合的に考える必要があります。
私は、西洋薬・東洋薬、両方が理解できる薬剤師になりたいと日々研鑽に努めています。
「漢方をよりよく、より多くの人に」をモットーに、これからも身体にできるだけ優しく、よく効く薬を提供できるようにがんばります。
ご清聴ありがとうございました。









