暑気あたり
- その他の症状
いよいよ夏本番を迎えます。
暑い日が続きますが、最近だるさを訴える人が増えてきています。
ちょうど昨年の今頃のことです。
80歳の男性が
「畑仕事をしたら、ものすごくだるい。家にあったドリンク剤を飲んだけれど、効かない。何かだるさのとれる漢方薬がある?これからもっと暑くなるのに、もう夏バテしちゃった。本当に困る」
と、相談に見えました。
私:「そもそも80歳になったのだから、畑仕事はセーブしないと」
と話したところ
男性:「いやいや、それにしてもこのところ、異常にだるい」
とのことでした。
たしかにいつもよりだるそうでした。お顔も腫れぼったくむくんでいる感じでした。
足にもむくみが見られましたが「夕方になるともっとひどくなる」と話していました。
この男性は、その1週間前にも処方箋を持ってお見えになっていました。
ちょうど人間ドックを受けた後とのことで、結果を見せて頂きました。
腎機能(e-GFR)が、前回の血液検査時より10程落ちていたのが気になりました。処方薬はいつもと同じでしたが、腎機能に影響する薬はないか、チェックしました。
この時は特に自覚症状もなかったので、むくみに気を付けるように服薬指導しました。
ところが1週間たっただけで、だるさとむくみを訴えていらっしゃいます。
食事内容や、水分を過剰に飲んでいないかどうかを徹底的に確認しましたが、食事や水分摂取量は問題なさそうでした。
さらに詳しく尋ねると、1~2か月前から、友人に勧められて、夏を乗り切るためにプロテインを毎日飲んでいると話してくれました。
プロテインは、筋肉増強や疲労回復などの健康効果があるため、スポーツ選手には、不可欠な栄養素と言われています。しかし過剰に摂取すると、腎臓に負担がかかります。
今回の原因は、プロテインの過剰摂取で、腎機能が落ちてしまったのだと思いました。
そこで、食欲や便の状態など胃腸状態を確認してから、平胃散をお求めいただきました。
平胃散
食べたものが胃に滞るためにおこる胃のもたれ
- 食欲減退
- 消化不良
- 下痢気味
- 胃腸の機能を整え、消化を助ける
5日間ほど服用し、食欲やだるさやむくみもなくなったため、飲み切り終了としました。
この男性が今年もお見えになり、夏を乗り切るための漢方薬が欲しいと言われました。
今年は腎機能も特に問題なく、今回は生脈散をお求めいただきました。
生脈散は身体にこもりがちな熱を上手に冷ましながら、汗で失われる「潤い」と「エネルギー」を補給します
生脈散の効果効能
次の場合の滋養強壮
- 虚弱体質
- 肉体疲労
- 病中病後
- 胃腸虚弱
- 食欲不振
- 血色不良
- 冷え症
- 発育期
次のような方にお勧めです。
・疲れやすい、元気が出ない
・夏バテ気味
・汗をよくかく
・仕事が忙しく、体がしんどい
・炎天下での活動が多い
最近の暑さで、体がだるい、夏バテ気味、食欲があまりない等を訴える方が増えています。
様々な対処法がTVや雑誌などでも取り上げられますが、ご自分の身体をよく観察して最適な方法を選んでいただきたいと思います。
今回例に挙げた80歳の男性ですが、1年前と今年ではのむ漢方薬が違いました。このように、その時の症状や体質、生活習慣などによってのむべき漢方薬が変わってきます。
だるさが取れない、暑気あたりかなと思ったらぜひ当薬局にご相談ください。
オーダーメイドの漢方で暑さに負けない体を作り、この夏を乗り切りましょう。