胃腸の疲れ
- 女性の悩み
楽しい連休をお過ごしの皆様! 胃腸の疲れは大丈夫ですか?
今回は胃腸の不調で悩まれた女性を取り上げます。
昨冬、40才代の女性がダイエットの漢方相談にお越しになりました。
この方は湿邪がひどかったので
「筋トレや脂肪燃焼も大事ですが、まず漢方薬でむくみを取りましょう」
とお話しして漢方薬をお飲みいただき、ダイエットも順調の様子でした。
湿邪の特徴
- 沈重性⇒脾胃が重だるい
- 定着性⇒なかなか邪気が取れない。治りにくい
- 粘膩性⇒汗・痰・便・舌苔などネバネバしている
ところが5月末、顔色が優れず、
「GW後から、胃がおかしい。胃腸内科の診察を受けたところ、『胃腸の疲れ』とのことで胃薬が処方されました。『この薬で治らなかったら胃カメラ検査です』と言われ、1週間飲みましたが治りません。ダイエットは中断して、胃腸の漢方薬を飲みたい」
とのご相談でした。
GW明けに体調を崩すことはよくあります。
それは旅行や外食などで、食事内容が普段とは大きく異なることが原因の一つです。コロナ禍の時期は旅行控えであまりいらっしゃらなかったのですが、昨今は、休み明けの胃腸の疲れを訴える方が増えてきました。
この女性は、ダイエットを頑張っていた反動でGW中に暴飲暴食したようです。そこで「香砂六君子湯」をお勧めしました。
香砂六君子湯
少し食べただけで胃もたれがあり、嘔吐や下痢をする方や、気の流れが悪い方の脾胃の湿邪を改善する漢方薬
この女性は、湿邪が強く、胃腸症状が治りにくい体質でしたので、食事には今後も十分注意するよう指導しました。
2週間後
「胃腸は少し改善して胃カメラ検査は免れましたが、だるさがあります」
とのこと。
相変わらず湿邪があり、肉体疲労も強いことから「真武湯」に変更しました。
真武湯
倦怠感が強く、冷えがあり、尿量が減少している方に適応する漢方薬
「真武湯」を服用して、むくみも軽減し、倦怠感も良くなってきたため、漢方薬の服用は遠のいていました。
ところが夏、
「暑さで冷たいものを飲み食いしてしまうので、吐き気や食欲不振が出て胃の不調が再発しそうです。丁度町の胃カメラ検査があるので、家族の勧めで予約しましたが、不安で胃がキリキリ痛みます。真武湯をまた服用した方が良いですか」
とのこと。
そこで、今回はまず「延年半夏湯」をお渡ししました。
延年半夏湯
みぞおちに抵抗感があり、食欲不振・胃痛がある方に適応する漢方薬
延年半夏湯を服用してすぐ、胃の不調も取れ、1週間後の胃カメラ検査で、胃腸は全く問題なかったそうです。
ところが検査後から胃が気持ち悪く、酸っぱい水が上がるうえ、下痢症状が2日たっても取れないとのことでした。
そこで「安中散」と「人参湯」を中心に、「真武湯」は体質改善として少量ずつ服用していただいたところ、段々良くなってきました。
今は「真武湯」だけで様子を見ていますが、半年たった今も特に問題ないようです。
このように湿邪があると、治癒までに時間がかかったり、繰り返し体調不良になったりします。
この女性の一番の原因は、湿邪が強いにもかかわらず、暴飲暴食したことと思います。
日頃から漢方薬でしっかり湿邪をとり、胃腸が疲れないようにしていれば、長引くこともなかったと思います。
なかなか症状が改善しない方は、対症療法と同時に体質改善も視野にいれるとよいと思います。
胃腸の疲れも含め、様々な不調は当薬局にご相談ください。