お悩み別漢方

目の不調と漢方

  • その他の症状

つい先日のことです。20歳前後の女性が見えた際

「今日は、いつもよりイライラしてない?」と尋ねたところ、

「そうなんですよ。でもどうしてわかりましたか?」と問われました。

 

「今日はいつもより瞬きが多いから」と即答したら、可愛い目を丸くして驚かれ、

「すごいすごい。そんなところまで見ていてくれてどうもありがとう」と感謝までされ、かえって恐縮してしまいました。

 

 

漢方では、目の状態から全身の健康状態を判断することが少なくありません。

目も体の状態を表す目印の1つです。「目は口ほどにものをいう」と言われますが、実際漢方的にも、目から読み取れることは多いのです。

 

こんな目の不調はありませんか?

  • まばたきの回数が多い
  • 視界のかすみ
  • 目のかゆみ・疲れ渇き、充血、痛み
  • 見えにくい
  • まぶたのピクピク、チック 等

 

漢方では

目は五臓の肝と関係が深く、肝の機能状態は、目に反映されます。

漢方の肝

1. 疏泄を主る

2. 血を蔵す

3. 筋を主る

このように、肝は、血を貯蔵し循環させ、筋肉の収縮や、弛緩といった運動を制御します。

 

目が正常に働くためには、視神経や目の筋肉などに十分な血流を送ったり、細かな動きができるようにしたりすることが必要なので、肝の気血を整えておくことが重要となります。

 

目の不調の証

 

1. 肝血虚⇒肝血不足

視神経に供給される血流量が不足することで栄養不足になり、目の疲れ・かすみ・ドライアイなどが生じます。

◎よく使われる漢方

婦宝当帰膠・四物湯

 

2. 肝腎陰虚⇒肝腎陰液(血など水分・精)不足

老化や過労、慢性的な身体不調により、肝腎の陰液不足となり、目の充血・ドライアイ.視力低下が生じます。

◎よく使われる漢方

杞菊地黄丸.滋腎明目湯

 

3. 肝鬱気滞⇒肝の気の流れが滞っている

強いストレスや、過度な緊張の連続で、気の流れが停滞し、目の周りの筋肉運動がスムーズにいかず、目の痛みやまぶたの痙攣.チックが出てきたり、目の疲れが生じたりします。

◎よく使われる漢方

逍遥散.抑肝散加陳皮半夏

 

4. 脾気虚⇒脾の機能が弱っている

元々身体が丈夫でなかったり、過労が続いたりすると、気が不足して、ピントが合わない、ぼやけるなどの機能低下が起こります。

◎よく使われる漢方

益気聡明湯

 

5. 実熱⇒発熱や炎症

暑さやストレスから炎症が続いたことにより、目の充血.腫れ.痛み.乾燥がおきます。

◎よく使われる漢方

洗肝明目湯

 

 

当店での症例〈40歳代男性〉

 

以前から眼圧が高く、眼科で目薬を処方してもらっています。家族性なので仕方ないと半ばあきらめてもいますが、ここのところ、一段と見えづらくなり心配しています。

⇒「肝腎陰虚証」と判断し、滋腎明目湯をお出ししました。

3週間ほど服用したところ、夕方の目の重さと顔ののぼせがなくなり、楽になったとのことでした。

「見え方は特に変わりませんが、上がり気味だった眼圧が少し下がりました。こんなに楽になるとは思いませんでした」と喜んでいらっしゃいました。

 

漢方では、目という一部だけを治すのでなく、身体全体を考えながら不調を改善していきます。ですから「目のための漢方を飲んでいたけれど、体調も良くなった」と言われることが多々あります。全身の健康状態を漢方で改善することで、目の不調も良くなっていくのです。

目の不調で悩んでいらっしゃる方、些細なことでも大丈夫です。ぜひご相談ください。

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この記事の執筆者

新海薬局

薬剤師 丹沢 仁美
Hitomi Tanzawa

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