甲状腺機能亢進症
甲状腺は喉仏のしたにある小さな臓器で、蝶が羽を広げたような形をしているというお話を以前しました。
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甲状腺機能亢進症は、この甲状腺の働きが過剰になり、甲状腺ホルモンの量が増えすぎた状態のことを言います。
甲状腺ホルモンが増えすぎると、心身の活動が活発になり過ぎ、
動悸、息切れ、イライラ、多汗
痩せ、手の震え、不眠、過食
などのさまざまな不調が起こってきます。
甲状腺の腫れを伴うこともよくあります。
主な原因として、
ストレス、消化器系の不調、血の不足
などが挙げられます。
甲状腺機能亢進症は女性に多いのですが、女性の場合、症状が更年期障害と似ているため、気がつかずにいるケースも多いです。
不調が続いているかたは、一度病院で甲状腺の検査を受けてみるとよいです。
漢方でのタイプ別対処法 
ストレスタイプ
★よくある症状
頸部の腫れ、眼球突起、手の震え、過食、
憂うつ、イライラ、怒りっぽい、興奮しやすい
情緒不安定、顔が紅潮、胸が苦しい、脇がはる
頭痛、口が渇く、口が苦い、月経不順、月経前に症状が重くなる
舌が紅い、舌の苔が黄色い
ストレスで気の流れが滞り、余分な熱が体にこもると、色々なトラブルが出てきます。
このタイプは、甲状腺機能亢進症の初期におおいため、早めの対処が大切です。
ストレス解消も大切になってきます。
おすすめ食材
陳皮(チンピ、みかんの皮)
菊花、ミント、カモミール、ジャスミン
香菜、春菊、菜の花、竹の子、セロリ、クレソン、
たらの芽、きゅうり、苦瓜、トマト、イチゴ、
そば、夏ミカン など
よく使われる漢方
逍遥散、加味逍遥散、開気丸、半夏厚朴湯、抑肝散、シベリア人参、瀉火利湿など
胃腸の働きが弱いタイプ
★よくある症状
甲状腺の腫れ、結節(しこり)、症状が長期化、
胸が苦しい、痰が出る、消化不良、食欲低下、
手足のしびれ、頭痛、月経痛、
舌の瘀点、瘀斑、舌苔がべたつく
不規則な食事、油っこいもの、甘いもの、辛いものの摂り過ぎ、
冷たいものの摂り過ぎ、偏食などといった食生活を続けていると、
胃腸の働きが悪くなり、消化吸収や、水分代謝の機能が落ちてしまいます。
すると、体に痰湿(余分な水分や汚れ)がたまり、身体のあちこちで凝固することに。
血流も悪くなり、しこりが出来やすくなります。
甲状腺にも影響し、腫れや結節などができやすくなります。
このタイプは症状が慢性化していることも多いので、根本の原因から改善していきましょう。
食生活を見直し、胃腸の働きを正常に戻していきましょう
おすすめ食材
銀杏、くらげ、海苔、しそ、もやし、春雨、冬瓜、
緑茶、黒豆、ナス、小豆、玉ねぎ、ニンニク、ねぎ、らっきょう
うこん、イワシ、鯖など
よく使われる漢方
温胆湯、勝湿顆粒、冠元顆粒、二陳湯、半夏厚朴湯、
血府逐瘀丸、ヨクイニン、焦三仙など
血の不足タイプ
★よくある症状
ほてり(暑がり)、体重減少、動悸、
不安感、不眠、寝汗、足腰のだるさ、めまい、耳鳴り、
月経不順、便秘気味、皮膚の乾燥・かゆみ舌が紅い、舌苔が少ない
ほてりや動悸といった甲状腺機能亢進症の不調は、陰陽のバランスがくずれ、「陽」が過剰になっている状態と考えます。
その大きな原因が血不足。
血には精神を安定させる、体を潤すといった働きもあります。
だから血不足になると、不安感や、不眠、皮膚の乾燥、便秘といった不調も起こりやすくなります。
特に女性は月経や出産があり、血不足になりやすく、甲状腺機能亢進症も発症しやすい傾向にあります。
食事に気をつけるだけでなく、しっかり睡眠をとり、血不足を解消するようにしていきましょう。
おすすめ食材
なつめ、クコの実、人参、ほうれん草、黒ごま、黒砂糖
鶏手羽、豚足、卵、松の実、はちみつ、ヨーグルト、
ゴマ油、海苔、小麦、あさり、あわび、牡蠣など
よく使われる漢方
天王補心丹、麦味参顆粒、ニ至丸、瀉火補腎丸、心脾顆粒など
※症状や体質は一人一人異なりますので、漢方の専門家にご相談ください。