大腸がんの基礎知識1
大腸がんは西洋人に多く、日本人に少ないと言われていたのは昔の話。
今では日本人の大腸がん罹患率はどんどん上昇し、
「2020年(オリンピックの年?)には肺がんを抜いて1位になるのでは?」
とも言われています。
大腸
このように、一般的になってきた大腸がんですが、「大腸」のこと、ご存知ですか?
長さは?…約2m!!
盲腸から始まり上行(じょうこう)結腸、横行(おうこう)結腸、下行(かこう)結腸、S状結腸、直腸で構成されています。
(難しい名前ですが、指で四角形を描いてみると分かりやすいです。)
お腹の右下(盲腸)から上にあがり(上行結腸)、
そこから左へ横切り(横行結腸)、
下に降り(下行結腸)、
くねったように右へ向かい(S状結腸)、
最後にまっすぐ肛門へ向かって下へ(直腸)
一見医学用語は難しそうでも、実は見た目通りの名前ですよね。
Q: 大腸がんができやすい部位はどこでしょう?
A: 直腸とS状結腸で、全体の約70%にもなります。
大腸がんの原因
主に生活習慣、遺伝の2つに分かれます。
1.生活習慣
食生活の欧米化(高脂肪食、食物繊維不足)
… 魚、大豆製品より、肉を食べることが増えた
… ハム、ソーセージなどの加工食も増加
… 野菜、海草類、穀物の摂取量が減った
… 調理方法も、「煮る・蒸す」 より、「炒める・揚げる」ことが多くなる など
★ 食生活が欧米化することで、便が大腸にとどまる時間が長くなっったり、
腸内細菌も変化してしまっているためだと言われています。
運動量の低下
★ 運動不足になると、腸の働きが悪くなります
肥満の増加
★ 肥満になると、大腸がんのリスクが上がると報告されています
喫煙
★ 直接たばこの煙が触れる訳ではありませんが、発がん物質が体内に入ることにより、大腸がんのリスクも上がります
アルコールの摂り過ぎ
★ 日本人は欧米人に比べアルコールの影響を受けやすいとされています
2.遺伝
遺伝で起こりやすい大腸がん
家族性大腸腺腫症( 大腸腺腫性ポリポーシスとも呼ばれる)
…数百から数万個のポリープが発生し、このポリープががん化していきます
APC遺伝子の変異が原因です
50%の確率で子供に遺伝し、治療しないでいると100%がん化します
家族性非腺腫性大腸がん(遺伝性非ポリポーシス大腸癌)
…家族性大腸腺腫症でないのに、遺伝的に大腸がんが発生する病気です
MSH2、MLH1などの遺伝子変異が原因です
3.その他
潰瘍性大腸炎
…数年間にわたって潰瘍性大腸炎を患っている人は、大腸がんの発生リスクが高くなります
胆嚢切除術後
…胆嚢を摘出した人に大腸がんの発生率が高い傾向があると報告されています
大腸がんの症状
大腸がんの発生の仕方には、2つあると考えられています。
○ 大腸の壁の内側にある粘膜にできたポリープ(良性の腫瘍)が、がんに変化する場合
○ 粘膜から直接がんが発生する場合
粘膜より深いところまでがんが広がっていないうちは、自覚症状はほとんどありません。
がんが大腸の壁の外側に向かって広がるにつれて、症状が現れるようになります
〈便〉
血便(血液が混じった便)
下血
大便習慣の変化(便が細い、下痢や便秘を繰り返す)
(※腸は癌を異物ととらえ体外に出そうとして下痢が起こりやすくなります)
便が残っている感じがする など
〈腹〉
腹痛
お腹が張った感じがする
お腹にしこりが感じられる
〈そのほかの症状〉
貧血(ガンによる出血のため起こりやすくなります)
吐き気、嘔吐
急に体重が落ちる
腸閉塞(イレウス):腫瘍が進行することで腸をふさいでしまい、腸閉塞を引き起こすことがあります
一番良くある血便や下血ですが、痔との区別がつきにくいので、医療機関を受診して調べてもらうことをおすすめします。
また、肛門より遠い、上行結腸や横行結腸のがんでは、出血があっても便と混ざってしまい、血便かどうか分からないことが多いです。
次回も大腸がんについて書いていきます。
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