乳がん手術後の合併症・治療の副作用対策
乳がん手術後の合併症、抗がん剤による副作用、放射線治療による副作用
に対する中医学ケアを見ていきましょう。
乳がん手術後の合併症
● むくみ(浮腫)
乳がんの手術後、よくおこる副作用の一つにリンパ浮腫があります。
がん細胞はリンパ節を通って全身に広がっていく性質があります。
そのため、乳がんの手術の際、がん細胞を取り除くだけでなく、
わきの下のリンパ節を切除することがよくあります。
しかし、切除することによって、リンパ液の流れが悪くなり、むくみ等の症状が出やすくなります。
ひどい時は、腕の太さが以前の何倍にも膨れ上がります。
★ 漢方でのケア
良い血を作るとともに、血の流れをよくし、水の巡りもよくしていく漢方を使います。
抗がん剤による副作用
● 白血球減少
抗がん剤は、がん細胞と同時に健康な白血球も壊してしまいます。
白血球は体内に進入した細菌や異物を取り込み、消化分解し、体を守ってくれるものです。
だから、抗がん剤の影響で白血球が減少すると、
細菌と闘う力が弱くなり、感染しやすい状態になってしまいます。
全身倦怠感、食欲不振なども起こりやすくなります。
★ 漢方でのケア
脾胃の機能を正常にする、気力を補う、生命力を高める、良い血をふやす
といった作用の漢方を使っていきます
● 吐き気・嘔吐
抗がん剤が消化管(口腔、胃、腸など)の粘膜や脳の中枢(嘔吐中枢)を
刺激することによって起こります。
★ 漢方でのケア
胃の働きをよくし、吐き気を抑える漢方を使っていきます。
放射線治療による副作用
放射線治療にも副作用がみられます。
がん細胞だけでなく,正常細胞へも放射線が照射されることで起こります。
放射線治療機器は、「いかに正常細胞へのダメージを少なくするか」という方向で
改良され進歩してきましたが、副作用が全くない訳ではありません。
● 口内炎・不安・不眠
頻尿・尿の色が濃い・尿道口に灼熱感 等
★ 漢方でのケア
体の余分な熱を冷まし炎症を抑える、
体に潤いを与え、熱性の疾患、乾燥、微熱などの症状を抑える
漢方を使っていきます。
● 放射線肺炎
肺に放射線を照射させたことにより発症します。
咳、痰、空咳、喀血など起こることがあります。
★ 漢方でのケア
潤いを与え、体の余分な熱を冷まし、咳や痰を抑える漢方を使っていきます。
乳がん手術後の合併症・治療の副作用対策で
よく使われる漢方薬
冠元顆粒、健脾散、心脾顆粒、参茸補血丸、健胃顆粒、半夏厚朴湯、
五涼華、百潤露、潤肺糖奨、紅沙棘 など
乳がんの方へのおすすめ食材
しこりに: 昆布、牡蠣、山椿子、桃仁
気血不足に: 長いも、ほうれん草、棗、豚レバー
放射線治療中: 梨、枇杷、ユリ根、れんこん
抗がん剤治療中: 生姜汁、トマト、はと麦
ホルモン療法中: みかん、ウイキョウ(フェンネル)
など
手術後の生活の注意
○ むくみや、筋肉のけいれんなどを軽減するため、リハビリを行う
(Drの指示に従いましょう)
○ 消化吸収しやすく、栄養のあるものをとるよう心がける
○ 睡眠をしっかり摂る
○ ストレスを溜めない
人間の体には自然治癒力と自然回復力が備わっています。
この身体の持つ自然治癒力や自然回復力が充分に発揮される状況を
作り出すために漢方薬は役立ちます。
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